るどのにっき

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徒然なるままに、心に移りゆくよしなしごとを とかっこつけてみたけれどただの文字書き習慣付けです

「グッバイ、レーニン」の感想 ※2017/02/01にぷらいべったーで公開した

課題れぽーよで出した文章の手直し版。友人と感想を共有したかった

 

日本ではコメディだととらえられたらしいが私はこの映画はただ笑えるものとはとらえたくない。

確かにくすっと笑えるシーンもあるが、なくなってしまった東ドイツの面影を懐かしみ政治的イデオロギーに関わらずどういう理想をもって暮らしたいかが描かれていると思う。


母親を死なせたくないため統一の事実を隠そうとする主人公には共感できるしごまかし続けるため嘘に嘘を重ねて次第に苦しくなっていく様子もよく分かる。

姉の子供のために新しいところへ引っ越したいという気持ちも理解できるしそれを見捨てることだと憤慨する気持ちも共感できる。

ばれないという点でいささかご都合主義かもしれないがそれだけでは片づけられないほど感情の描写はリアルだと感じた。


映画の中でどうやら母親が主人公の恋人である看護師から統一を知ってしまったようなシーンがある。父親と母親の再会のシーンではひょっとしたらその「嘘」と真実について話をしていたのかもしれない。

最後に彼が友人と制作したビデオをみた母親は「本当に素晴らしいわ」という。その言葉は真実を知った母親が、そのビデオの中で話されたのは主人公の理想であると気づき、彼自身に送った言葉のように感じた。


また映画の中で年寄りや若者が「東ドイツだったころの方がこういうところが良かった、でも戻りたいとは思わない」というような立場を見せている。

私たちが住む日本も、もしなくなってしまったらやはり懐かしく思うだろうし淋しいとは思うだろうし、特に売っていたもの、放映していた番組が見られないのは郷愁に駆られるのは間違いないだろう。しかしよりよい社会になると思っていたら戻りたいとは思わない気がする。


この映画は深く意味を追求しようとしたらどこまでも行けそうであり、気軽に楽しもうと思えば気軽に見てしまえるような映画だと思う。