わたと布
唐突だが私はわたと布の塊が大好きだ。
双子の片割れがぬいぐるみを欲しがる女だったためポーズだけでも卒業したフリをし続けて10年以上経ったが本当は大好きである。
どれぐらい好きかというとシャカシャカしたビニール素材の布のクッションすら喜んで触るくらいは好きだ。
もちろんぬいぐるみの毛のもあもあは好きなのだが布の袋に少し余裕がある程度にわたの類が詰められているのが好きなのだ。
劇場の椅子が少し柔らかいくらいでニッコリするくらいの人間なのだ。
わたと布の塊を好んでいることを大っぴらにもしないが隠さなくなったのは精神的に不安定になっていた時期からだ。まあだいたい3年くらい前からか。
不安だったり緊張したり勇気が出ないときはそっとぬいぐるみやクッションの類をぎゅっとして自分を元気付けていたのだ。
一番ひどいときは小さいがマスコットキーホルダー以上の大きさのぬいぐるみを二つカバンに忍ばせて外に出たこともある。
まああのときはたぶん幼児退行もしていたのだろうけれど……。
ぬいぐるみをこどもっぽいものだとしてとりあげたりからかったりおねだりを否定するのはよろしくない。
自ジャンル界隈では有名だが英国人の多くの大人がテディベアと一緒に寝ているという調査結果もあるらしい。
心理学的な論文にも有用とあるようだし、不安な夜はぬいぐるみに話しかけ、一緒に寝てもらうのはどうだろうか。